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トップページ比較集不動産登記法 > 前提登記の果てなき旅

カテゴリー 不動産登記法

前提登記の果てなき旅

前提登記。。

これに気づかず去年は書式0点なのさ~恨み節~あの日のことは忘れない~~~~m(;ーー)m(;°0°)

ふ~ついつい暗い歌を作ってしまった( ̄ー ̄; ヒヤリ

まー要約すると去年の書式は前提登記を忘れて答案が崩壊したわけです。

こういうのって後から言われると


「そりゃ名変必要よ」


って分かるんですけど、コロンブスの卵と一緒で現場では気づかないんですよね(遠い目)

という事で同じ轍を踏まないためにまとめました!

つまり登記名義人が氏名や住所を変更している場合、登記を申請するには前提としてこれらの変更の登記を申請する必要があるか!?という問題です!




〇 前提登記必要な場合
事実説明
1、所有権移転登記の義務者典型例ですね。甲野さくら子がBに所有権を移転したが、実は甲野さくら子は結婚して乙野さくら子になっていた場合。まずは乙野さくら子への氏名変更登記をしてからBへの所有権移転登記をします。
2、所有権抹消登記における義務者せっかく移転した所有権を抹消しちゃうような場合ですね。

例 AからBに所有権移転登記をしたが、Bの氏名変更後に、錯誤により当該所有権移転登記を抹消する場合。

3、所有権以外の登記の抹消における登記権利者所有権以外の権利の場合、義務者の名変は不要ですが、権利者の場合原則通り必要になります。

例 Aが抵当権者、Bが設定者。Bの氏名に変更があった後にAの抵当権を抹消するケース

4、持分放棄、共有物分割における権利者1、と比較すべき点ですね。本来所有権移転の登記権利者は登記簿にまだ名前が載ってない人なんで、前提登記不要なはず。

しかし、持分放棄等は権利者になる人にも関わらず、もともと登記簿に名前載っちゃってます。だから前提として名変がいるというひっかけ問題ですね。

5、相続人等による登記(62条)をする場合の登記義務者Aが亡くなる前にBに不動産を売却していた。当該所有権移転登記をAの相続人Bが申請する場合にAの氏名等に実は変更があったという場合ですね。
6、仮登記を申請する場合の登記義務者1、の応用バージョンです。所有権移転登記の場合は当然前提登記が必要ですが、仮登記をするだけの場合でも前提登記は必要になります。

甲野さくら子がBに所有権を移転したが、実は甲野さくら子は結婚して乙野さくら子になっていた場合。

代金の支払いがまだなので、まずは条件付所有権移転仮登記を打つとします。

このとき、乙野さくら子への氏名変更登記をしてから仮登記を申請することになります。

7、仮登記に基づく本登記6、は仮登記を打つ場合の話ですが、こちらは当該仮登記に基づき、本登記をする場合です。

同じく仮登記義務者の名変必要です。では仮登記権利者の名前が変わっていた場合はどうか?

なんとなくイメージ的には仮登記義務者に変更があった場合のみ、名変が必要な感じがするんですが、そんなことはありません。

仮登記権利者の名前に変更があったような場合も、仮登記に基づく本登記をする前提として仮登記権利者の名義を変更する登記をしておく必要があるのです。

仮登記権利者も既に登記されている名義人ですからね。

8、担保仮登記の本登記に受戻権の行使があった場合の権利者
(1)乙が甲に融資。甲の不動産に仮登記担保を設定登記済み。
(2)甲の氏名が変更
(3)まだ担保仮登記の本登記がされていない段階で甲が受戻権を行使

この場合、「受戻権行使による失効」を原因として仮登記の抹消を申請します。甲は抹消するときにおいていまだ登記名義人である以上、名変は必要です。

9、和解調書に基づき単独で所有権移転登記をする場合の義務者これは過去問(平成4年24問2)そのままです。

調書上に登記義務者の表示として、登記上の住所とこれと異なる現在の住所が併記されている場合において、同調書に基づき単独登記をする場合でもちゃんと名変登記を前提としてやっておく必要があります。




〇 前提登記不要な場合
事実説明
1、所有権以外の登記の抹消における登記義務者抵当権の登記を抹消する場合に抵当権者の氏名(商号)住所(本店)に変更があった場合ですね。「所有権以外」なので抵当権に限らず、買戻権や仮登記上の権利を抹消する場合も名変不要です。
2、相続登記をする場合の被相続人前提登記が必要なケースの5、との違いに注意。

こちらは被相続人が特に生前誰かに不動産を売却していたわけではなく、相続人がダイレクトに相続する場合ですね。

Aが死亡。息子のBが不動産を相続したが、Aは生前住所を移転していたというケース。

3、失効申出と有効証明請求登記の申請ではないんですが、一緒にまとめました。

登記識別情報の失効を申し出たり、有効証明の請求をする場合、前提として名変は不要です(不動産登記規則65条4項、68条5項)

4、なんだかんだで戻ってきた系タイトルだけでだとさっぱりわからないのですが、甲さんが、不動産買って登記を備えたあとに住所を転々としました。まー転勤とかですかね。でも結局もとの住所に戻ってきた

(*^o^*)オ(*^O^*)カ(*^e^*)エ(*^ー^*)リーー!←お隣さん

このような場合、結果的にもとの住所と新しい住所は同じなので、前提としての名変は不要です。

5、行政区画の変更行政区画の変更があってから、登記を申請する場合ですね。

どういうものかは続いて行政区画について考えてみるの巻 に詳しく流れを記載していますので参考にしてください

6、仮登記に基づく本登記をする場合で義務者が登記名義人でない場合前提登記必要な場合の7、に記載していますが、本来仮登記に基づく本登記をする場合、名変必要です。

しかし、たとえば以下の事例では名変不要です。

(1)甲から乙に所有権移転。仮登記を申請して登記済み
(2)甲は乙に売ったにもかかわらず、丙に所有権移転登記をしてしまった。
(3)乙は仮登記に基づく本登記を申請

この場合、甲は既に登記名義人ではないですが、(3)の登記を申請する際に登記義務者になります。

かかるケースにおいて甲は仮に名前がかわってたとしても登記名義人ではない以上、前提としての名変は不要です。まー名義人ではない以上、当たり前っちゃ当たり前なんですが。

7、保仮登記の本登記に受戻権の行使があった場合の義務者前提登記必要な場合の8、と同じ事例ですが、仮登記名義人である乙の方の氏名等が変更していた場合です。この場合は変更証明情報を提供すれば名変登記省略できます。
8、担保仮登記の本登記に受戻権の行使があった場合の権利者
(1)乙が甲に融資。甲の不動産に仮登記担保を設定登記済み。
(2)甲が返済しないので、仮登記担保を実行。所有権の登記名義が仮登記に基づく本登記により、甲から乙に移転。
(3)甲の氏名が変更
(4)甲が受戻権を行使。

この(4)の受戻権の行使により、所有権は甲に復帰するので、乙から甲への所有権移転登記を申請します。このとき甲は現に効力を有する登記名義人ではないので前提として名変は不要です。しかし、同一性を証明するための情報は提供する必要があります。