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トップページ比較集商業登記法 > 準備金の減少と債権者保護手続きその2

カテゴリー 商業登記法

準備金の減少と債権者保護手続きその2

 前回の続きです

準備金の減少と債権者保護手続きその1へ

1、減少した「準備金」を全て「資本金」にする場合

例えば

  • 「資本金」が500万円
  • 「準備金」が100万円

これを

  • 「資本金」600万円
  • 「準備金」0円

とするようなケースです。

 この場合、債権者としてはめちゃラッキーです♪

 なんせ「準備金」から、より崩しにくい「資本金」に振り替えてくれるわけですからね。

だからそもそもこのケースの場合、「債権者保護手続き」をする必要がありません。

楽じゃのー(* ^―^)y─┛o〇◯

2、減少した「準備金」の一部を「剰余金」にして、一部を「資本金」にする場合

 この場合は「準備金」を「資本金」にまわすという側面から見れば債権者にとってラッキーなんですが、崩した「準備金」のうち一部は「剰余金」に振り替えられており、債権者にとってアンラッキーな部分があります。

 そのため当該ケースでは「債権者保護手続き」が必要という事になります。

 _φ(・_・”)ふー「債権者保護手続き」めんどくさいなー・・・

 しかし、「債権者保護手続き」が必要だからといって、「債権者保護手続き」とったことを証明する書面を登記の際の添付書面として提供しないといけないかは別問題です。

 本ケースの場合「準備金」の減少に伴い、「資本金」を増加しているので、「資本金」の額を増加する登記を申請する必要があります。

 しかしかかる登記の申請において「準備金」減少に伴う「債権者保護手続き」をとったことを証する書面を添付する必要はありません。

 なぜならここで行っている登記の目的は「準備金」の減少ではなく、「資本金」の増加です。

 「準備金」はそもそも登記事項ではないので、それに必要となった手続きの書面まで「資本金」の増加の登記に添付させる必要はないからです。

ゴメンゴメン。その書類いらないんだヾ(^-^;)

 まとめると、減少した「準備金」の一部を「剰余金」にして、一部を「資本金」にする場合、「債権者保護手続き」は必要だが、登記の際の添付書面にはならないというねじれが生じることになります。

3、減少した「準備金」の全てを「剰余金」にする場合

 この場合は当然「債権者保護手続き」が必要です。

 しかしそもそも「準備金」から「剰余金」に振り替えても登記すべき事項は生じません。仮にひっかけでこの決議が書式で出たとしてもスルーでOKです。

以上表でまとめると以下のようになります(^-^)V


〇 「準備金」の額の減少
事実必要となる登記「債権者保護手続き」をとる必要があるか「債権者保護手続き」が添付書面になるか
減少した「準備金」を全て「資本金」にする場合「資本金」の額の増加の登記不要そもそも「債権者保護手続き」が不要なので問題にならない
減少した「準備金」の一部を「剰余金」にして、一部を「資本金」にする場合「資本金」の額の増加の登記必要(例外あり449条1項)不要(ねじれ現象)
減少した「準備金」の全てを「剰余金」にする場合登記すべき事項は生じない必要(例外あり449条1項)そもそも登記すべき事項がないので問題にならない

注 本文2、3、の場合は本来「債権者保護手続き」が必要ですが、例外的に「準備金」の欠損を補填するためで当該「準備金」の減少を定時株主総会で決議した場合には例外的に「債権者保護手続き」が不要になります(会449条1項)